500円で買える!“ワンコイン”文庫のおすすめは?
こんにちは!ヤマダです。
さて去年のエントリーから何回か“ワンコイン文庫”について触れてきました。
・文庫本の値段はどうやって決まる?出版社に電話取材してみた
・文庫化する本はどう決める!?出版社に電話取材してみた その2
前回、前々回と文庫本の価格設定とか文庫化の基準を調べてきまして、
今回はようやくといいますか500円以内(ワンコイン)で買えるオススメ文庫本を紹介したいと思います。
■ワンコイン文庫売上ベスト10
個人的にオススメしたい本について書くまえに、某大手書店売上データを元に、2009年12月のワンコイン文庫売上ベスト10を作ってみたので、載せます。(価格は税込)
1.ブラックペアン1988 上 海堂尊 講談社 440
2.ブラックペアン1988 下 海堂尊 講談社 440
3.彩雲国物語 暗き黄昏の宮 雪乃紗衣 角川書店 500
4.読むだけですっきりわかる日本史 後藤武士 宝島社 500
5.見知らぬ明日 栗本薫 早川書房 420
6.マイブック 大貫卓也 新潮社 340
7.人間失格/桜桃 太宰治 角川書店 300
8.読むだけですっきりわかる政治と経済 後藤武士 宝島社 480
9.ボトルネック 米澤穂信 新潮社 500
10.後(うしろ)はマのつく石の壁! 喬林知 角川書店 460
海堂尊さんの作品をずっと読みたいと思いつつ読んだことがなかったので、ランキング上位に発見した時「おっ!」と思ったんですけど、コレ上下巻だったんですね。。。1冊にまとめたら結構高いだろうな、と思いつつも片方500円以下だと買ってもいいような気になるのがワンコイン文庫の怖さ(しかしいよいよけちな話になってきましたね。。)。
価格という点で言えば『人間失格/桜桃』が出色。300円て。。
太宰作品もこんなに安いのかと思って調べましたけど、どうやらこれが一番安いようです。
名作として名高い『人間失格』ですが、価格もランキング入りした要因の一つかもしれませんね。
9位の『ボトルネック』は、タイトルを見た瞬間「ビジネス書にもワンコイン文庫が!」となりましたが小説でした。
こんな本を読んだことがあるもので。。
- 作者: 石川和幸
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/08/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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■個人的にオススメしたいワンコイン文庫2冊
さて、個人的おすすめワンコイン文庫を紹介すべく本棚を昨夜漁りました。絶対この場でオススメしたいのは2冊。
『飢餓同盟』(安部公房/新潮文庫)
- 作者: 安部公房
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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小さな地方都市でよそ者達が既成権力の転覆を計画するお話なんですけど、筋立てがしっかりしてすごく読みやすかったです。
僕は安部公房作品をよく読みますが、もしかしたらそれは文庫が安いからかもしれないと思うほど安部作品はワンコイン文庫の宝庫です。
- 作者: 大江健三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1968/04/29
- メディア: 文庫
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大江健三郎という「嘘の巨塊」(池田信夫blog)
テレビでさんざんに言われている動画を発見しようと愛しています。
ほとんど盲目的に好きといっていいかもしれない。
そんな大江氏のワンコイン文庫で秀逸なのがこの『性的人間』。
表題作もいいんですけど、同時に収載されている『セブンティーン』が最高です。
タイトル通り主人公の少年は17歳。17歳といったらコンプレックスまみれ。
そんな主人公が政治思想(暴力?)に目覚めて社会に復讐するというお話。
シリアスな話ではあるんですけど、ユーモラスで滑稽です(冒頭の、いつもオナニーばかりしている主人公が、仮性包茎の包皮の先を括る技術を“発明”したことでいつでもどこでもオナニーできるようになったというくだりで死ぬほど笑いました)。
他にもいくつかありますが、絶対おもしろい!と自信をもってオススメできる本を厳選しようと思ったら最終的に2冊になってしまいました。
■最後に
さて、3回にわたってワンコイン文庫について書いてきましたが、今回が最終回。
値段の決め方や、文庫化の基準、読者の声で文庫化することはできるのか?など文庫についてあれこれ調べてきまして、各出版社さんの方針はどれも様々で興味深かったです。
ワンコイン文庫に関して、気になる作家の本を買う時、まずは一番安い文庫から入ってみるというのは一つの手だと思います。
文庫の価格設定はページ数が一つの目安となるので、ワンコイン文庫なら短編か中編。
そんなに時間をかけずに読めますからね。